「日本語でケアナビ」開発プロジェクトのプロセスを振り返ると、大きな節目が四つありました。
- 「フィリピン人看護師・介護職従事者受け入れ」の動き
- 基本データベースの作成
- インターネット公開用のデータベース制作
- インターネット公開
きっかけは2004年の11月に日本フィリピン経済連携協定が大筋合意されたことです。そこには「フィリピン人看護師・介護職従事者受け入れ」の項目があり、はじめてこれらの職に就く外国人に対する日本語教育が議論に上りました。そして、これを受けて、2005年4月から関西国際センターで「看護・介護の日本語教育支援データベース」開発プロジェクトが始まりました。
『看護・介護のための日本語教育支援データベースー開発調査報告書―』(平成18年、国際交流基金関西国際センター)に、以下のようにその経緯が記されています。
2004年11月に日比首脳間において大筋合意された日本フィリピン経済連携協定(Economic Partnership Agreement、以下EPA/未締結)に基づき、フィリピンで資格を有する一定数のフィリピン人看護師及び介護職従事者について、日本の国家資格を取得するための期限付き就労を許可し、さらにその間に国家資格を取得した者については、引き続き日本における就労を許可することとなった(不合格者については即時、帰国)。
日本政府は期限付き就労のための前提条件として日本語の習得を義務付けており、財団法人海外技術者研修協会(以下、AOTS)が、フィリピン人の看護師及び介護職従事者を対象に『フィリピン看護師・介護福祉士候補者事前研修(仮称)』として日本語教育を行い、独立行政法人国際交流基金(以下、国際交流基金)がその側面支援を行うこととなった。(『「看護・介護のための日本語教育支援データベース」開発調査報告書』(平成18年、国際交流基金関西国際センター)、p.1より)
関西国際センターでこのプロジェクトを行うことになった背景には、1997年開設以来、外交官(在京大使館勤務の可能性がある人、自国外務省で日本担当業務を行う可能性のある人)、図書館司書(海外の日本研究を支援するための専門司書業務)など、同センターの専門職を対象とした日本語研修の実績があります。
ただし、看護師・介護士という専門職に対する日本語支援は、日本社会で仕事をする人材への日本語教育であること、直接一般市民に対するサービスを行う業種で、しかも高度なコミュニケーション力が必要であることの二点で、これまで海外の日本語教育支援を中心としてきた関西国際センターの専門日本語教育とはやや異なります。
とはいえ、「日本語でケアナビ」開発プロジェクトを振り返ってみると、様々な場面で、これまで関西国際センターで培われてきたノウハウが生かされていることに気づかされます。大雑把に言えば、すでに仕事を持っている人が、大人になってから外国語を学ぶ場合に、どのように学習支援を行うのがよいか、ということを問いながら行ってきた日本語研修の実践です。
それを思うと、看護師・介護職従事者への日本語教育に関わるプロジェクトを関西国際センターで行うというのも、まさに「ご縁」。従来の研修で得た蓄積を活かしながら、新たな分野でも実践に精を出したいものです。
2007.10.13 10:35 - うえだ


