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うえだ

「日本語でケアナビ」と私たち

大学院生にインタビュー(3)

介護に関する「価値観」の変化

パトリシアさんの研究には、日系人社会の家族関係の変化やその基盤となる「価値観」の問題が出てきます。そこから、

  • 3世以降の人々が持つブラジル的価値観と、1、2世の日本的価値観が異なること
  • 文化的価値観だけではなく、いわゆるジェネレーションギャップのような、世代間の意識の違いがあること

がわかります。かつては大家族の中で誰かが面倒をみていたのですが、今は価値観観が変ってしまった結果、多くの老人ホームが建てられるようになった、とパトリシアさんは語ります。

パトリシア:私の研究テーマは、「ブラジル日系人社会の高齢化」です。ブラジルでは、日系人協会が日系の老人のために老人ホームを作っています。サンパウロに5つぐらいあります。ブラジルは多文化社会ですが、日系人専用の老人ホームのようなものは、他のエスニック・グループには見られません。

上田:他の文化背景の人々には、ないんですね。

パトリシア:それから、日本の老人ホームと比べてみると、ブラジルの老人ホームには、病気の人だけでなく元気な人もいます。

上田:病気だから施設に入るのではなく、元気な老人もホームに入るという意味ですね。

パトリシア:ええ。日系人1世や2世は、伝統的な日本的価値観を持っていて、それによると、子どもは結婚しても親といっしょに住むと考えていますが、若い世代の子どもがブラジル人(非日系人)と結婚した場合、「親とはいっしょに住みたくない」と言うことが多いです。それで親は老人ホームに入れて、自分たち2人だけで新しい生活を始めることが多くなっています。

上田:なるほど。

パトリシア:ブラジルの日系人にはまだ古い価値観があります。だから、親の世代は「親の面倒は子どもがみるものだ」と言うんですけど、でも子どもの世代は「もういやだ」と言う。それで、老人ホームがたくさん建てられるようになりました。価値観が変わったからだと思います。

社会制度や価値観の比較:老人ホームに入るには

日系人1世の中には、移民先で家族を持てなかった人もあって、その人たちは老人ホームに入りますが、手続きは日本とかなり異なるようです。日系人社会の世代間の価値観の変化と、ブラジル社会の問題と、両方が関係しあった問題があるとのことです。

パトリシア:家族のない人、だれも面倒見ることができない人も老人ホームで暮らします。費用の高い老人ホームもありますが、たとえば「○○の園」は「ただ」じゃなくて、何かあれば、たとえば車とか家とかがあって、それをあげれば、老人ホームに住むことができます。

上田:物を寄付するんですね。

パトリシア:ブラジルに比べると(日本の制度は)本当に違います。ブラジルは、病院には医療保険はありますけど、介護福祉保険はありません。それで(非日系の)ブラジル人にとっても、家族が高齢者の面倒を見ることは、とてもむずかしいです。

2007.12.18 15:16 - うえだ

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