チャッカンダッケン・ちゃっかんだっけん
このことば、ご存知でしょうか。漢字で書くことができますか?介護ではよく使うことばだそうです。
ヒント1:服を着せたり脱がせたりする介助の場面で使われることばです。
漢字が連想できますか?
ヒント2:介助される人には麻痺があります。
どうでしょうか?答えが浮かびましたか?この記事を読んでいただくにつれて、答えがお分かりいただけると思います。
「介護と看護は全く異なる専門分野である」と、プロジェクト開発に着手した当初から、関係者の方からうかがっていました。看護師は医学を修め、かつ、看護独特の専門分野の知識を習得した人々だということは想像できます。では介護士はというと、なかなかぴんと来ないこともありました。
介護の場面特有の語彙を拾い出すこと、そのために手にしたのは、やはり介護の専門書です。そのうちの一冊が
社会福祉専門職問題研究会(1992)『介護福祉士の基礎知識』誠信書房
介護の仕事をする人が学ぶべき領域をひろく紹介し、そこでの用語を解説している文献です。また、具体的なからだの動かし方を写真やイラストを加えて説明している文献も読みました。
島内節・佐藤美穂子・下平唯子(2000)『介護・看護サービスのための 目で見る用語事典』
中村惠子監修・山本康稔・佐々木良著(2005)『もっと!らくらく 動作介助マニュアル』医学書院
ベッドの上に横になっている片麻痺の患者さん、利用者さんを寝返らせたり、起き上がらせたりする介助をする場面には「頭の向きは健側の方向に向ける」というような文があります(島内節他、2000p。164)
「健側」は「けんそく」と読みます。漢字からすると意味は「健康な側」、ということが推測できますが、あまり日常的に耳にする言葉ではなく、いわゆる専門用語になると思います。この反対の意味は「患側(かんそく)」です。
さて、文頭のチャッカンダッケンですが、衣服を着替える場面、つまり着脱場面です。それに、患側、健側などの語彙がわかってくると、組み合わせることができてきますよね、日本語がわかる人なら・・・。
そうです、「チャッカンダッケン」は漢字で書くと「着患脱健」となります。「服を着るときは麻痺のある側(患側)から、脱ぐときは麻痺のない側(健側)から行う」という意味です。
いかがでしょうか?正解でしたか?
こんな専門用語、日本人でもわからないのに外国人が覚える必要があるのか、というご意見もあるでしょう。
多くの場合、専門用語は漢語で表現されることが多いです。これは日本語の特長の一つと言えます。非漢字圏の学習者が漢字を覚えるのは難しい問題です。でも、このような専門用語は意味する場面や内容が確定しているので、覚えてしまえばOKとも言えます。もし介護の場面で日常的に用いられる用語だとしたら、それは必要語彙ですし、毎日使うのならそれほど負担になりません。もちろん大変な骨折り仕事ではありますが・・・。
「着患脱健」ということばは
大田仁史・三好春樹(2003)『完全図解 新しい介護』講談社(p.130)
にあります。これはタイトルにもあるように、介護場面の詳細な図解がふんだんにある本です。この本からは語彙を収集しただけでなく、図解に大変お世話になりました。
2008.02.24 14:35 - うえだ


