看護英語教材分析によって、日本語使用場面を割り出していけるという手がかりを得ることができました。その一方で、私たちはさらに必要とする分野に気づきました。
その一つは、「働く人同士の日本語」です。看護師なら看護師が、同僚や先輩看護師と働く場面ではどのような表現が必要なのか、ということです。
もう一つは「介護の日本語」です。看護と介護は、共通する内容もありますが、異なる専門分野です。看護英語の教材から、身の回りのお世話をする業務についての表現も多少観察できたのですが、「介護」分野として特定するには、量的に満足できるものではありません。
『あたらしい じっせんにほんご 技術研修編』(財)国際研修協力機構監修、(社)国際日本語普及協会(2001)
「はたらくための日本語」を求めるために、まずこの教材に当たりました。この資料では、文型の種類はごく限られていますが、たとえば、数の表現(ものの数え方、小数点、序数詞など)を各課で扱っている点など、著者が学習者にどのような日本語を習得して欲しいと考えているか、何を重視しているかを知ることができます。同様に
『HATARAKUHITO NO NIHONGO ―はたらくひとのにほんご【生活編:日本語/英語版】』(財)海外職業訓練協会(2003)
にも、仕事の場面での優先事項を考えるための参考となる例を見出しました。
介護福祉士などの介護職をめざす日本人向けの教材は、ほんとうにいろいろなものが市販されていますが、外国語や外国人とのかかわりの中での介護を想定したものはほとんどありません。その中で異色を放っているのが
『介護の日本語』NPO法人日本フィリピンボランティア協会・ミンダナオ国際大学著、NPO法人日本フィリピンボランティア協会・ミンダナオ国際大学(2006)
で、これは具体的に日本語学習と介護場面を提供してくれる資料です。場面設定では、利用者とのやりとりなどでの困難な局面に遭遇することまで含めた状況を提供し、教材に現実性を持たせることの重要性を示唆してくれました。
このように、看護英語教材からはじまって、徐々に関連分野を広げていき、資料分析をひとまず終えて、場面分析をすることになりました。
場面はカテゴリーと考えることもできます。カテゴリーごとにデータを集め、分析してはまたカテゴリーを立て直す。そして、新しいカテゴリーに必要なデータを集める、という手法、実は、私には過去にこのような方法を経験したことがありました。というより、この作業をしながら、このようなデータ分析の方法とよく似ているものに気がついた、というわけです。これが次の段階で重要なことになりました。
それについては、後ほど改めて述べたいと思います。
2008.02.11 16:48 - うえだ


