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2008年3月のシンポジウムの詳細が決定!

うえだ

理論というナビゲーター

出会いの本

関西国際センターで「看護師・介護士のための日本語支援データベース」をつくるのだ、という話が持ち上がったとき、さて、何から手をつければいいのかと、悩みました。看護職、介護職、どちらも専門性の高い領域ですし、それぞれ専門的な辞書や教材が数多く市販されています。今さら私たちに何かすることがあるのだろうか、とも思いました。

その時、そばにあったのが

『ホームヘルパーブックシリーズ3 利用者・家族とのコミュニケーション』諏訪茂樹編著、中央法規出版株式会社、(1998)

です。「外国人看護師受け入れ!」という声があがった時に、「ホームヘルパー」に関する本を手にしていたというのも、今から考えるとちょっとずれているのですが、そのときの私たちは、看護や介護の仕事について、ぼんやりとしたイメージしかもち合わせていなかったということでしょう。

さて、門外漢の私が、「介護」の本だと思って恐る恐る中を見ると、そこにはなんとコミュニケーションの重要性について書かれてあります。言語のコミュニケーション、非言語のコミュニケーションについて、施設利用者とのコミュニケーションはもちろん、その家族とのコミュニケーションの重要性にもページが割かれています。そして、「図7.介助・家事援助時の声かけの流れ」というフローチャートでは(p.33)、仕事を始めるときの表現、表情、仕事の説明、実施、確認、終了の言葉など、具体的な仕事とその流れに応じたコミュニケーションが場面、場面で必要であることが示されていました。

これを見たとき、「私たち日本語教師にもできることがある」という確信(とまではまだいきませんでしたが)を持つことができました。

  • 場面に応じたコミュニケーション
  • 様々な相手に対する表現と使い分け

などは、いわば私たちことばの教育を仕事とする者にとって、なじみの深い領域です。どんな仕事をする場合でも、職場の同僚たちと準備をし、連絡をとり、確認し、実行した後は引継ぎをし、また次の仕事の準備をするということは共通していることですし、それが重要です。このプロジェクトでは、そのための日本語教育支援を行えばいいのだという方向性を、その時、見出すことができました。

私は早速、ケアの場面を一つ例に取り、そこで必要な言語能力についてフローチャートを作成して、取り上げていくべき表現分析の基本資料を作成しました。

図:介護場面の流れと必要な言語技能

もう一つ、後から考えて思うのですが、国際交流基金関西国際センターの日本語教育研修は、参加者の多くが専門分野を持つ職業人で、彼らの業務と日本語学習をどのようにつなぐか、彼らが日本語を用いて何ができるようになることを目指すか、ということを念頭に入れてプログラム開発や教育実践を行ってきています。(これは「自律学習」の考え方に影響を受けているのですが、それは別の機会にお話します。)

関西国際センターで日本語教育をしている私たちが、このプロジェクトでできることは何か、研修の実績とこのプロジェクトとのつながりが、ここで成立したとも言えます。それを考えるヒントを得ることができた思い出深い一冊です。

2008.02.09 16:45 - うえだ

次は「数珠つなぎ」

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