こちら「日本語でケアナビ」開発室

2008年3月のシンポジウムの詳細が決定!

うえだ

理論というナビゲーター

ブログの目指すもの(3)

仕事の現場を描くこと

「日本語でケアナビ」に関する報告書はこれまで3本書きました。

『看護・介護のための日本語教育支援データベースー調査開発報告書―』(国際交流基金関西国際センター、2006)

「『看護・介護のための日本語教育支援データベース』開発調査をめぐって」(上田和子、2007、『国際交流基金日本語教育紀要』第3号)【PDF版があります】

「インターネットサイトによる日本語教育支援―『日本語でケアナビ』の開発を一般公開を事例として」(上田和子、田中哲哉、前田純子、嶋本圭子、角南北斗、(印刷中)『国際交流基金日本語教育紀要』第4号)

いずれも、「仕事」を記録すること、その点に重きをおきました。「計画、実行、結果、評価」です。報告書というものは、それが本分なのだと思います。

しかし、「日本語でケアナビ」開発のプロセス、経験、そこから得たものを記述する方法として「報告書」という形式を考えた場合、書きおおせないものがあるような気がしました。しかも、非常に重要なもので。もしかしたら「ブログ」という形ならそれを書き残せるかもしれない、そんな予感を抱きました。

なぜ、それを書き残さなければならないのか。
それは、自分の体験を振り返るためです。
そして、その場での体験をそこにいなかった人々と共有するためです。

「Rm.19」というのは、私たち「日本語でケアナビ」開発チームが仕事をしていた部屋の名前です。事務所なのに教室番号である19番という番号がついています。チームワークはばっちり!息の合った開発メンバーですが、それぞれが互いの仕事の内容を知り尽くしているわけではありません。分担して作業をしていることがその理由ですが、同じ作業を担当していても、それぞれに認識していること、経験していることは異なることもあるでしょう。どんな思いで取り組んでいたか、私はそのことばに耳を傾けてみたいと思いました。

このような仕事をするために、どんなことをした
その結果こうなった、そこには失敗もあった
その失敗を修正するために、こんな方法をとった
そのときこう思った、感じた
ということを知ることです。

報告書として「計画、実行、結果、評価」の記述だけでは満足できなかったのです。その間に埋もれている実像を描きたいと思いました。点と点をつなぐ記述、描写が欲しかったのです。

その場での出来事を、その場にいた当事者たちが、それぞれどんな思いで受け止めていたのか、そこからどのように仕事をしていたのか、私も知りたかったのです、しかも私の視点からだけでなく。

サイト開発という手段であっても、教育実践の領域にかかわるものです。それをエピソードを連ねることで描くこと、それが可能かどうかの試みでした。現場の実践を記述することについては、

鯨岡 峻(2005)「エピソード記述入門―実践と質的研究のために」東京大学出版会

ガービッチ・キャロル著、上田礼子・上田敏・今西康子訳(2003)『保健医療職のための質的研究入門』医学書院

が参考になりました。

教師の実践という文脈では、振り返り、内省、リフレクションについて、数多くの文献で語られています。

澤本和子(1998)「授業リフレクション研究のすすめ」『成長する教師―教師学への誘い』金子出版

藤岡完治(1998)「仲間と共に成長する」『成長する教師―教師学への誘い』金子出版

なぜ、「日本語でケアナビ」チームはブログを書くのか
それは、ブログを書くことが実践現場を記述することだからです。記述した経験を自分で、Rm.19内で振り返り、さらにRm.19の外の人々とも共有したいからです。そして、それは明日につながるためのもう一つの「事業評価」だと考えるからです。

「ブログ」という「振り返り」で何が可能か、プロジェクト参加者たちの声によって描かれた<この事業>にどんな意味が見出せるのか。その問いかけにもう一つの「事業評価」があると思うのです。

ブログ公開が始まってまる5ヶ月、記事は150本を超えました。このデータから何を読み解くか、これが次の仕事だと思います。

2008.03.05 15:22 - うえだ

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