こちら「日本語でケアナビ」開発室

2008年3月のシンポジウムの詳細が決定!

うえだ

日本語でケアナビの「いま」

石の上にも3年

2007年の振り返りという宿題を前にして、やっぱり、3年前からざっと振り返ってみます。

「石の上にも3年」、そのことわざが示すように、2007年は国際交流基金関西国際センターで看護・介護のための日本語教育支援事業に取り組んで3年目にあたり、まさに<結実>の年であったといえます。
人々の経験から生まれた知恵の結晶がことわざですが、何事をするについても時が熟していくには3年の歳月がいるのだとういう先人の教え、しみじみと「昔の人は偉いなあ・・」と思わずにはいられません。

さて、「看護や介護の専門家のための日本語教育を支援していく」ということ、はじめて私たちがそれを耳にしたときは、まるで雲をつかむような話だと思いました。そのゼロの地点から手探りがはじまったのが1年目の2005年。
目標は<データベース開発>です。それに向かって無心に進んでいきました。データを形作っていく過程で、様々な手ごたえ(日本語教育の面からです)をつかむことができました。

そして、できあがった<データベース>をインターネットで公開するため、次の試行錯誤に明け暮れたのが、2年目の2006年です。
開発メンバーは、発想の転換やら、意欲的な取り組みやら、ものを作っていくうえでエキサイティングなことをたくさん経験していたのですが、それを外に出すことはあまりなく、まさにここまでは<おこもり>状態でした。

その理由の一つは、私たちの部屋では、専門用語だけでなく、人前でおおっぴらに口にするのがはばかられるような「ことば」が開発メンバーの間で飛び交っていたこと。看護や介護という体のお世話をする仕事についてのことばですからね。そんなことばは、どのメンバーにとっても、これまでの「日本語教育人生」であまり体験していませんでした。時おり入室してこられる同僚の皆さんは、「一体何をやってるの、この人たち」と思われたかもしれません。

もう一つは、「手探り」の成果として作った<データベース>なのですが、それで良いのかどうなのかという迷いが、自分たちにまだまだあったことも考えられます。
それに、何といっても無我夢中であった面もあるでしょう。

そんな私たちでしたが、自分たちが行ってきたことを次第に外の人に打ち明け、その意見に耳を傾け、「人に伝えること」「人に使ってもらうこと」、そのためにはどうすればいいのかということに向き合うようになりました。毎日考え続けました。そして、たどり着いたのが、「日本語でケアナビ」という形です。
3年目にあたる2007年のキーワードは<公開>。いよいよ「日本語でケアナビ」としてインターネットを通じて世間にお目見えさせること、関係者向けテスト公開の日が4月1日、そして一般公開の日が7月1日でした。

デッドラインに向けて、メンバーがコツコツとデータ作りや改訂の作業に精を出している傍らで、いかに人に伝えていくかを考え、実行するかということが、年間を通じて私(と、もちろんたなかさん)の主な仕事になりました。
チラシづくり、学会発表、関係者対象のデモンストレーション、広報媒体への紹介記事の執筆、報告書作成等など、各方面で広報の機会をいただくことができました。

「日本語でケアナビ」にはどんな価値があるか、使う人であるあなたにとって、どう役立つかを示して伝える、これは私にとってそれほど簡単な仕事ではありませんでした。今までとは異なる発想で取り組まなければならなかったからです。
なかでも「ブログ」は<公開>にとって、重要な役割を果たしているのですが、これについては、別項でさらに考えていきたいと思っています。

広報と並行して、もう一つ、「日本語でケアナビ」の検証も大切な仕事でした。ヘルパーとして働く在日フィリピン人の方や海外で教える日本語教師の方々に実際に使ってもらい、使い勝手の感想を聞いたり、問題点を指摘してもらったりしました。そして、少しずつ改善を進めていきました。

2007年の後半になると、広報活動で伝えた成果でしょうか、いろいろと生の反響があがってきました。世界各地からの「問い合わせメール」に、「日本語でケアナビ」への賞賛がつづられていれば、うれしいやら励まされるやら。そして、ミスの指摘があれば赤面するやらでした。

それらの反響を吟味して「日本語でケアナビ」にまた反映させていくという連環を体験したのも2007年です。その大切さを実感しました。

「3月末にかならず仕上げるんです!」というすなみ君のゆるぎないことば。
―にぎやかな私たちを静かにさせる気迫がありましたね。

「はい、できています!」というしもやんの責任感みなぎるきっぱりした態度。
―こんなに頼っていいのというぐらい、お世話になってきました。

「んーと、こんな感じですかね!」といって、ひらりと絵で示してくれるまえちゃんの「どんだけ~」と思わせるあふれる才能とセンス。
―アイデアとやさしさに感謝しています。

「・・と、ちょっとまってくださいよ、それは・・」と、妥協しているようでしていない、とりこぼしているようで、もらさない、はたんぼの粘り強さ。
―そのおかげで、私はポイントだけ話しておけばよかった。

そして、「なるほどね・・」と、みんなの相談を受け止める(受け止めさせられる?)究極のカウンセラーでありモデレータであるたなかさん。
―どのメンバーもたなかさんの参加で、心が楽になりました。

そして、このような天の配剤と思われる体制で働けることを可能にしてくださった、国際交流基金関西国際センター、歴代の管理職をはじめとする事務方、主任、副主任、専門員、そして率直な意見をくれた同僚専門員、みなさんに感謝するばかりです。

しっかりと3年、石の上でやってきたのですから、名実ともに「結実」といえるよう、新年からまた取り組んでいきたいと思います。

2007.12.29 11:29 - うえだ

次は「新年ご挨拶 日本語でケアナビいろはかるた」

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